原発について思う

原発、再生エネルギーについて書いていきたいと思っています

再生可能エネルギーのネック

再生可能エネルギーとコスト

再生可能エネルギーの利用は、昔からあった

実は、再生可能エネルギーに水素を利用する考えは30年以上前から考えられている。しかし、水素エネルギーの産業への活用は遅々として進まない。その一番の理由は何か、コストである。
水素は宇宙で一番多い元素であると言われている。太陽も水素をヘリウムに替える核融合によって光り輝き、我々もその光と熱の恩恵に浴している。
しかし、地球には水素原子あるいは分子単体として存在しない。実は、地球草創期には水素は豊富な分子であったらしい。けれどもあらゆる物質の中で最も軽い水素を留め置くには地球くらいの引力では無理だったようで、宇宙の彼方へ逃げていってしまった。現在、水素は天然ガス液化天然ガス、ナフサ、石炭などに含まれるが、やはり、地球上に無限といっていいほど多量に存在するのは水である。
しかし、化石燃料や水に含まれる水素を取り出すにはコストがかかる。単純に考えても、化石燃料をそのまま燃やす方が安上がりだし、水から取り出すには、熱化学分解や電気分解といった他のエネルギーを借りる必要がある。
このコストがネックになって、費用対効果を重視する産業利用が遅れていたのである。

 

水素エネルギーの自動車への採用

 


クリーン化が急がれる自動車の世界でも、トヨタが「ミライ」続いてホンダが「クラリティ」と水素エネルギー車を発表したが、それぞれ723万円、766万円と自動車自体がかなり高価である。政府の補助金が下りるにしても、一箇所5億円といわれる水素ステーションのインフラの整備が充実していないこともあって、期待ほどは普及していない。

 

水素発電は、小型も大型も設計自由


しかし、水素は本当に高価なのであろうか。例えば2016年12月9日の経産省の発表によると、福島原発事故の後処理費用は、実に21.5兆円になるという。借金まみれの日本の年間予算が100兆円とすると、その1/5が福島原発のみで消えることになる。
例え事故が起きなくとも、原発(13.1円)>火力(9.9円)>水力(3.9円)となり、過去の実績(1970-2010年度)でみると、原発は最も経済性がない電源だったといえる。(大島堅一 立命館大学教授)
しかも、原発発電効率を高めるため100万kWと巨大なプラントが必要になる。それに比較して、水素発電は1kWから百、千、万kWと、小型発電から超大型発電まで地理的条件、地域の必要に応じて自由に設計可能である。

再生可能エネルギーへの模索

再生可能エネルギーの模索1

 

温室効果をもたらすガスの排出量を削減することは地球規模の目標であり、特に先進国は、アメリカなどのパリ協定を離脱した国を除いてこぞって温室ガス削減に取り組んでいる。


わが国も再生可能エネルギーについては、色々と模索している。
 現在、代表的な再生可能エネルギーは、太陽光、風力、地熱、バイオマスそして、水素発電であろう。


太陽光発電


1. 太陽光発電のメリット、ディメリット


 太陽光発電のメリットには、①太陽光をエネルギー源とするため枯渇しない。
②発電に伴うCO₂の排出はない。③小さくても発電効率が低下しない。⑤騒音を出さない。⑥メンテナンスが容易で比較的長寿命。⑦安全である。


 一方ディメリットには、①発電が不安定で、設備利用率が低

い②発電コストが高い③大きくしても発電効率が上がらない。(スケールメリットがない)(再生可能エネルギーと大規模電力貯蔵 太田健一郎監修 横浜国立大学グリーン水素研究センター編 日刊工業新聞社刊より)シリコン等の有毒物質が含まれているため、廃棄するには多額の費用がかかる。


  太陽光発電は日射強度の変化に応じて、発電量も変動する。わが国には梅雨がある。一月以上、長い年では二月もの間、雨が降ったり止んだりじとじととした時期が続く。当然この期間は、発電量が落ちる。中国のゴビ砂漠サウジアラビアのように、一年中ほとんど雨が降らない地域とは違うのである。

原発新安全基準

原発新安全基準

 

 3.11の福島第一原発の惨事を繰り返さないために原子力規制委員会は、2013年原発新規制を設けた。それまでは、各電力会社独自の安全対策がまちまちであったため、それを基準化しようとしたのである。
 停止した原発を再稼働させるには、この新基準をクリアしなければならない。ところが、電力会社と新基準の対応はうまくいっているとはとても言えない状態である。
原子力規制委員会は政府の干渉を受けない「独立行政委員会」である。しかし、この基準が確固としていない。だから、担当者は電力会社に対して、「これこれのことをすればよい」と、明確に指示できない。それをすると、もし事故が起こったとき、監督者である原子力規制委員会の役人の責が追及されるからである。


だから、中部電力浜岡原発静岡県)では津波対策として巨大な防波壁を作った。規制委側の指示はなかったが、自主的に決めた。高さは14~16メートル、海抜22メートルで「万里の長城」を連想させるほど壮観だ。この対策を規制委側は高く評価したが、同社内部からは「やりすぎ」(営業幹部)との声が聞こえる。この費用は約3000億円以上という。(「世界一」の原発安全規制 ここがおかしい)より引用

また、同HPによると、申請書類は10万ページにも及ぶという。このデジタルの時代にである。


こんなもの、規制委員会の担当者は、本当に読むのだろうか。
だから、審査に費用も時間もかかるのである。
東電は柏崎刈羽原発の6,7号機を再稼働するつもりだ。どちらも136万kWと出力が大きいためだ。しかし、その安全対策費は、なんと、約1兆2千億ちかくも掛かるという見積もりだ。しかも、2013年の新基準施行後の安全対策費は、約4700億円だったという。どんな見積もりだ。どんな対策だ。いや、原子力という暴れん坊を封じ込めるためには、際限なく費用がかかるということか。

原発の寿命

こんにちは。淳です。


快適な生活を送るため、自然災害の恐ろしさ、原発の危険性、核ゴミの廃棄の難しさなどについて書いていきたいとおもいます。

玄海2号機の廃棄について

原発の寿命


 原発の寿命は原則40年とされている。それを延長する場合は、原子力規制委員会の許可があれば、最長20年の延長を認めている。
現在、廃炉が決定している原発は国内に24基ある。
では、原発を廃棄するには、どれくらいの費用と期間を要するのであろうか。
九州電力玄海2号機(佐賀県)の廃炉には、約365億円の費用と30年程度の期間ががかかる見通し(https://gennpatsu.tokyo-np.co.jp/page/detail/1001/ 2019年は新たに再稼働する原発はゼロに)より。

 
  玄海2号機は、玄海1号機と同じ出力55.9万kWの比較的小さな原子炉を持つ。それでも、これほど巨額の費用と年数を要するのである。
しかし、この目論見は甘いのではないかとの指摘もある。廃炉には900億円くらいはかかるというのが普通だとの見解もある。
玄海2号機は、九州電力の発表では、1981年3月30日に運転が始まり、2021年3月に、ちょうど40年で運転満了を迎える。そして、運転期間を延長するには、2020年3月31日までに、原子力規制委員会に申請を行う必要がある。しかし、2013年に施行された「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を満たすのは難しいと判断し、2015年に廃止を決定した1号機とともに、廃止することにしたのである。

 
「特定重大事故等対処施設」(特重施設)

 

「特定重大事故等対処施設」(特重施設)とは、2001年9月11日に起きたニューヨーク世界貿易センタービルに飛行機が突っ込んだように、テロリストから原発を守るための法律である。原子力規制委員会は、「特重施設は安全対策のバックアップとして、原子炉格納容器破損防止に対する信頼性をさらに向上させる」と報じている。また、「原子炉建屋及び特定重大事故等対処施設が同時に破損することを防ぐために必要な離隔距離(例えば100m以上)を確保すること、又は故意による大型旅客機の衝突に対して頑健な建屋に収納すること」とも規定している。
九州電力は、玄海2号機はこれに対応できる十分なスペースが確保できないこともあり、廃炉することにしたのである。


 玄海2号機は1976年に建設がはじまり、約5年間で営業運転を開始している。その建設費は1,236憶円である。廃棄するのにまた巨額の費用が掛かかり、建設する何倍もの、おそらく10倍ほども時間がかかるものなのである。

 

それでも、原発はなお必要なのであろうか。

激甚災害指定

激甚災害指定

こんにちは。淳です。
快適な生活を送るため、自然災害の恐ろしさ、原発の危険性、核ゴミの廃棄の難しさなどについて書いていきたいとおもいます。

 

観測史上最多の雨


10月25日、台風21号は直撃さえしなかったのに、大雨による被害で千葉県、福島県では10人もの犠牲者が出た。いずれの地域においても、「観測史上最多の雨が降った」と、気象庁は発表しているが、15号、19号そして、今回の大雨と、いつまでこんなことを繰り返すのだろう。


 農業被害だけで1700億円を超えるという。壊れ、流された家屋、工場の機械や設備等、すべての被害を総計すると、いったい幾らくらいの金額になるのか、想像するだけでも、恐ろしい。来年も観測史上例を見ない大雨が降ったと、気象庁は発表するのだろうか。


 武田良太防災担当相は、「今回の度重なる災害については、激甚災害指定に取り組む方向で検討を進めたい」と、おっしゃっているそうだが、被害にあわれた方たちがショックから立ち直れるのに、どれほどの時間を要するのだろうか。
災害が発生した後で、激甚災害指定に指定するよりも災害に合わずに済むように、国庫からお金を出す方が国民の安寧と幸せのためには比べようもないと思う。
台風の発生をおさえ、日本列島に影響を及ぼすのを防げないならば、前回でも紹介した『首都圏外郭放水路』をあちこちに作るしかないのではないか。

韓国の東京オリンピックボイコットと汚染水

福島第一原発の汚染水


韓国の反応


韓国が、「東京オリンピック放射能で危険。選手や応援団、観光客が放射能にさらされる。また、放射能に汚染された食物を口にすることから、東京オリンピックは取り止めた方がいい。それでも開催するのなら、韓国選手の食べ物は、直接自国から運び入れる計画もあるという」
徴用工問題や不買運動,NO NO JAPAN等の国内運動の続きかと思っていたら、なんと、IOCのバッハ会長の直訴にまで発展した。
そんなに気になるのなら、ボイコットした方がいいのではないか。とも思うが、……。
韓国の言い分はともかく、福島第一原発で汚染水が増え続けているのは事実である。一時は一日150トンもの汚染水が発生したが、地下水等で、現在でも約80トンもの汚染水が湧いている。
その増え続ける汚染水を排出することなく、タンクの増設につぐ増設でしのいでいる。しかし、それも、後3年が限度だという。

 

トリチウム


汚染水にはトリチウムが含まれている。では、そのトリチウムとはいったい何者であろうか。トリチウムとは、自然界にも存在する水素の仲間で、3重水ともよばれる。

 

トリチウムは、宇宙空間から地球へ常に降りそそいでいる「宇宙線」と呼ばれる放射線と、地球上の大気がまじわることで、自然に発生します。そのため、酸素と結びついた「トリチウム水」のかたちで川や海などに存在しています。雨水や水道水、大気中の水蒸気にも含まれており、富士山周辺における地下水の年代測定にも活用されています。また、人の体内の水分量と、日本の水道水や大気中に存在するトリチウムの量から試算すると、水道水などを通じてトリチウムを摂取することで、人体内にも数10ベクレルほどのトリチウムが存在していると言えます。(経済産業省 資源エネルギー庁HPより)


体内では均等分布で、生物的半減期が短く、エネルギーも低い。こうしたことから三重水素は最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられ、生物影響の面からは従来比較的軽視されてきました(ウィキペディアより抜粋)

 

トリチウムは、「放射性物質」の一種です。ただ、トリチウムが放出する放射線の種類は、「アルファ(α)線」「ベータ(β)線」「ガンマ(γ)線」といった放射線のうち、β線のみです。このβ線は、薄い金属板などでさえぎることができます。さらに、トリチウムが放出するβ線はエネルギーが弱いため、空気中を約5mmしか進むことができず、紙1枚あればさえぎることが可能です。(経済産業省 資源エネルギー庁HPより)


通常の状態で、トリチウム半減期は12.32年である。とすれば、2023年には、海に放出してもそれほどの影響はないのではないのか、とも思われる。

 

予防原則


しかし、UCバークレー物理学教授で、米国エネルギー省顧問のリチャード・ムラー氏はいう。『一部に、「予防原則」――状況が不確定な場合、もし安全を重視しすぎて間違ったとしても、その逆よりはよいという考え方――を支持する人はいるからです。』

 

風評被害


そして、風評被害がある。これはもう情緒的なことなので、理屈は通じない。それに、もし悪意を持って風評被害を流すつもりなら、どんな屁理屈でもくっつける事ができる。
漁業に携わる人たちが一番恐れるのがこれである。
韓国などは、いまだに福島、群馬等の福島第一原発周辺の土地で生産される生鮮食品は輸入禁止である。

1兆円の使い道

1兆円の使い道

首都圏外郭放水路

こんにちは。淳です。
快適な生活を送るため、自然災害の恐ろしさ、原発の危険性、核ゴミの廃棄の難しさなどについて書いていきたいとおもいます。

 

先日、洪水被害を防ぐためには、放水路の建設が不可欠だろう、ということについて触れました。


『中川、倉松川、などの河川増水時に、流量用水を超えた水を一時貯留し、江戸川に排水する首都圏外郭放水路
この首都圏外郭放水路の建設において、工事費役2,300憶円を要したそうである。しかし、この放水路の稼働状況は、2002年から2015年にかけて100回稼働してしており、年平均すると、約7回となっている』(以上、ウィキペディアから一部抜粋)


例えば、この首都圏外郭放水路を全国に5カ所建設するとすれば、約1兆円かかる計算になる。


この金額は大きいのであろうか。今回の台風19号の被害は、12都県に及び、80人近い死者を出し、行方不明者は、15人。いまだ孤立した集落もたくさん存在する。自宅の浸水や崩壊で避難生活を余儀なくされている人は、4,000人以上に達する。


この人々が安寧な元の生活を取り戻すために、いったいいくらくらいの金額を必要とするのであろうか。企業や農家の被害も国や自治体がある程度、補填しなくてはならないであろう。
そして何よりも、尊い人命が多数失われた。
このことを考慮すると、1兆は決して途方もない金額ではない。

 

トンチンカンな国会議員

「まずまずに収まった」と発言する二階自民党幹事長。
台風被害について議論する国会で、「避難所でワインを出せ」と言う議員。
国会を1日開催するのに、約3億円の費用がかかるという。


莫大な金を浪費し、国の舵取りをするべき人の発言がこれである。被災者にワインを出すのと、洪水をおこさないようにするのと、どちらが国民にためになるというのだろうか。