原発について思う

原発、再生エネルギーについて書いていきたいと思っています

福島第一原発 汚染水の海洋放出

福島第一原発の汚染水対策

氷の壁

 福島第一原発の敷地は、その昔、帝国陸軍の岩城飛行場であった320万㎡に及ぶ広大な敷地である。
その構内に1000基近くのタンクを作り、トリチウムを含む汚染水を溜めている。
 やっかいなことに福島原発は、地下水が流れ込むのである。それに加えて、いまだ原子炉の中に残る核燃料を冷やし続ける必要があり、その水の量は1日に500トンにも達する。
 東電が、2016年3月から開始したのが、凍土壁である。パイプに零下30度の液体を流して、土地を凍らせ建屋を氷の壁で取り囲み、地下水の流入を防ごうとしたのである。この作戦は2017年11月に完了し、その結果、建屋に流入する地下水は、1日におよそ95トン減少したという。
 それでも2022年の夏ごろには、タンクは満杯になるという。原子炉を廃炉にするため建設する建屋や機材などを置くスペースを考えれば、これ以上タンクを増やすことはできないということだ。


トリチウム


 この汚染水には、トリチウムがふくまれている。トリチウムは、三重水素とも呼ばれ、化学的性質は水素と同じであるが、水素原子にはない2個の中性子を内包し、不安定な物質である。
 トリチウム宇宙線などの影響で自然界にも含まれているが、もちろん原子炉内には自然界とは比較にならない多量のトリチウムが存在する。
 原発の汚染水には、この他にセシウム137やストロンチウム90などの放射性物質が含まれるが、これらは科学的吸着やろ過などにより、取り除くことができる。
しかし、トリチウムは、通常の水と同じ性質をもつため、ろ過してもすり抜けてしまい取り除くことができない。

 
トリチウムが人間にもたらす問題

 

 トリチウムは水であるため、人間が飲み込む。そして、普通の水と同様、血液やリンパ液として、体内を巡る。トリチウムを取り込んだ細胞は染色体が破壊され、先天性異常児や死産、流産が起こる確率が高くなるといわれている。そして、トリチウムが崩壊するときにβ線が放出され、人体を構成する細胞にも悪影響を与えると考えられている。

 
福島第一原発の汚染水の最終的な処理方法

 

タンクが一杯になったら、政府や東電はどうするのだろう。こんなやっかいで迷惑なもの、他の都道府県が受け入れてくれるはずがない。
そして、トリチウム半減期は12.32年である。後、4.5年ほどしたら、最初に発生した汚染水は半減期を迎える。それから、順次他の場所に移動するのだろうか。でも、どれだけ補助金をもらっても、やっぱりどこの地域も拒否するであろう。
 それでは、どうするのか。
やはり、半減期を迎えたものから、順次海に放出するしかないのではないか。と思う。

 
風評被害

 

しかし、それに最も反対するのは、福島、三陸近海漁業に従事する人たちであろう。風評被害でこれらの地域で獲れた漁獲類の売り上げは激減するだろう。
風評被害は科学的根拠ではない。理論でもない。感情、感覚である。どれだけ政府や東電が安全指数を羅列しても何の意味もなさない。
この地方の漁獲類が元のように売れるまでに、相当の期間を要するであろう。そして、それまでの間、政府や東電はそれらの人たちの生活給付金を払い続けなければならない。
こんな痛い目にあいながらも、政府はまだ原発を作り続けようとしている。