原発について思う

原発、再生エネルギーについて書いていきたいと思っています

使用済み核燃料の貯蔵――乾式と湿式

 

 

しばらくお休みしていましたが、

今回は、使用済み核燃料の貯蔵の新しい試みについて、書いていきたいと思います。

 

1、 使用済み核燃料の量は半端ない
2、 乾式と湿式
3、 キャスクは造るのも大変
4、 原発とは放射能とはやっかいなもの

 

1、 使用済み核燃料の量は半端ない

 以前のブログでも書いたように、現在日本に貯蔵されている使用済み核燃料は、ウラン量で1,900トンもあるといわれている。


では、その膨大な使用済み核燃料は、どのようにして、どこで貯蔵されているのであろうか。


そのほとんどは、各原発の敷地内である。原子炉から取り出したばかりの核燃料は、いままでまさに核分裂を起こしていた代物であるから、熱や放射される放射線は半端ない。


そのまま長距離移動等もできないので、原子炉から最も近い場所、すなわち原発の敷地内になる。


 もちろん、人はそれに近寄れないし、とにかく冷やさなければならない。
そこで、敷地内に設けられた使用済み核燃料の冷却プールで冷やされる。

 

2、乾式と湿式

 ここまでは、今まで行われてきた方式と同じである。7年ほどプールで冷却された使用済み核燃料をそのまま冷却プールで貯蔵し続けるのが、湿式貯蔵方式である。
この保存法だと、常に水を循環させなければならないため、貯蔵に電力を使い続けることになる。
一方乾式とは、冷却済みの使用済み核燃料を「キャスク」と呼ばれるドラム缶の大きいバージョンに貯蔵するものである。

f:id:mirai-miraikun:20200202180051j:plain




茨城県にある東海第二発電所の乾式キャスク のHPより借用
キャスクは、高さが数メートル、直径2メートルほどで、軟鋼又はステンレス鋼で作られる。
放射線を遮るために、遮蔽材に鉛または劣化ウランが使用され、
落下試験や耐火試験、浸漬試験など、様々な試験に合格したキャスクに使用済み核燃料が詰められる。

 
3、キャスクは造るのも大変

 

 というと、ギュウギュウ押し込むように受け取られるかもしれないが、使用済み燃料棒はバスケットと呼ばれる仕切り板で隔離される。そして、キャスクの下部には、熱を放出させるためにフィンが切られ、2重の蓋で安全を期するのである。
 キャスクに詰められた使用済み核燃料は、持ち運びも容易になり、キャスクの外側に人が触れても大丈夫である。
 これを中間貯蔵施設で一定期間貯蔵される。
実は、各原発の貯蔵施設は後2年~6年で満杯になり、これからは乾式貯蔵を進めていくものと思われる。
しかし、キャスクの製造自体が、特殊な素材を使う重量物の加工であるため、製造には18ヵ月から2年くらい掛かるのだそうである。
キャスク貯蔵は自然の空気の循環で冷やすことを目的としているが、量によっては、強制的な空気の循環やプールで冷やすことも視野に入れている。
つまり、まったく電力を消費せずに貯蔵する理想通りにはいかない可能性が高い。
ここまでが中間貯蔵で、MOX燃料加工工場に運んで再処理するか、
最終的にはガラス固体にして地中に埋めることを計画している。


4、原発とは放射能とはやっかいなもの

 

地中に埋めるのはあくまでも計画で、場所も決まっていない。
実際に施設が完了しているのはフィンランドだけであると記憶している。
まったく、原発とは放射能とはやっかいなものなのである。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesj1959/17/10/17_10_536/_pdf   https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kanshiki_tyozou.html を参考、一部引用させていただきました。


を参考、一部引用させていただきました

脱原発、再生可能エネルギーの活用について


1、 ポルトガルは、再生可能エネルギー先進国
2、 日本における風力発電の取り組み
3、 水素社会の実現―トヨタの取り組み
4、 オリンピック、パラリンピックは、水素社会の実現に向けての最良の舞台

 

1、ポルトガルは、再生可能エネルギー先進国


 GIZMODO(https://www.gizmodo.jp/2020/01/windfloat-atlantic.html)の情報によるとポルトガルは、世界最大の洋上風力発電所を作り上げたようである。


ポルトガル沖に設置されたこの風力発電所は、「WindFloat Atlantic」と呼ばれ、大晦日に電力系統へと接続されました。とはいえ、これは全部で3つある風力発電所の、最初のひとつです。そしてそれらすべてが稼働されれば、浮体式風力発電所は、年間約6万世帯分のエネルギーを提供できるようになります。―中略―こうした浮体式洋上風力発電のようなプロジェクトが増えれば、国が2050年までにカーボンニュートラル実現の目標達成に役立つことでしょう。】(同上より引用)

 だから、日本は再生可能エネルギーの普及において遅れていると、単純比較するつもりはない。もちろん、日本にも風力発電のローターはかなりの場所で見かけるし、毎年幾度となく台風に襲われる事情もある。

2、日本における風力発電の取り組み

 とはいっても、原発にかける膨大なエネルギーや費用、そして御用が終わった原発の、長い長いそして危険な後始末のことを考えれば、政府はもう少し再生可能エネルギーに力を注いでもいいのではないか。
 ましてや、日本は四方を海に囲まれている。


【国内の中長期的な温室効果ガスの排出削減を進めるためには、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進する必要がある。
 わが国における洋上風力の導入ポテンシャルは膨大で、海面上80mにおける年平均風速6.5m/s以上、離岸距離30km以内、水深200m未満の算定条件下で総計15.7憶kWと推計されている。
 なかでも、水深50m以上の海域における風力エネルギーポテンシャルが12.7憶kWとその大半を占めていることから、この膨大なポテンシャルを活かすためには、水深50m以上の海域にも適用可能な浮体式洋上風力発電の実用化が是非とも必要になる】(土木学会論文集B3(海洋開発)、Vol,70、No2、1-1-1-6,2014  浮体式洋上風力発電の実用化に向けてー五島市椛島における実証事業―pdfより引用)
 
ポルトガルは、まさにこの論文を実践したのである。2050年までに実現しようとする脱炭素社会に一歩近づいたといえる。
 

3、水素社会の実現ートヨタの取り組み

 一方、日本では風力発電はもちろんであるが、再生可能エネルギーとして、水素の活用に力を注いでいる。その旗手となるのが、トヨタである。


 トヨタは、今年のオリンピック、パラリンピックに向けて、100台以上の燃料電池バス(FCバス)の導入を予定している。

f:id:mirai-miraikun:20200113131306j:plain


燃料電池バス「SORA」
https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/21862392.htmlより借用)
 

 実は、私も先日渋谷区の恵比寿で見かけたことがあった。「FUEL CELL BUS」のロゴがとてもかっこよく見えた。


 トヨタは、燃料電池自動車(FCV)MIRAI(ミライ)を約5年前から発売しているが、販売台数が1万台にも届いていない。

 水素ステーションの設置不足がその最たる要因である。政府の補助があるとはいえ、業者としても1基5億円ともいわれるステーションを作るのは決断が必要だろう。そして、現状では作ったところで月に何台の車が水素を充填しに訪れるのだろう。


 FCVの中古査定の問題もある。ガソリンやディーゼル車は世界中を埋め尽くし、確立した中古市場がある。購入する側としては、たとえFCVを候補に挙げたとしても、将来手放すことやインフラ不備を考えれば二の足を踏むのは当然のことだろう。

 

4、オリンピック、パラリンピックは、水素社会の実現における最良の舞台

 燃料電池自動車を多くの人の目に触れさせ、理解度を上げるにはオリンピック、パラリンピックは最高の舞台だろう。


 そのために、トヨタ燃料電池バス「SORA」の他にミライ500台の他に、新開発のe-paletteの導入も考えている。

f:id:mirai-miraikun:20200113131520j:plain


e-palette (https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1211673.html)より借用

 これは主に、選手村での活用を想定した投入だ。
ともかく、様々な方法で再生可能エネルギーを使用する世論を作り出し、官民あげて脱原発を図らなければ、日本の金は原発に食い尽くされてしまうだろう。

増え続ける使用済み核燃料

核燃料の寿命

 政府の廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議が開かれ、国と東京電力がつくる福島第一原発廃炉工程表が2年ぶりに改訂された。その廃炉工程表によると、使用済み核燃料プールからの核燃料取出し開始は、2023年頃からと計画されていたのが、5年延びて、2027~2028年度頃から開始されることになった。
 

 福島第一原発のように事故が起きた原発だけでなく、正常に作動している原発においても、核燃料は通常3年サイクルで交換される。  
原子炉から取り出された燃料棒は、崩壊熱や放射線を放出しているので、人間は近寄ることさえできない。すべての作業は、リモートコントロールで行われる。

 

使用済み核燃料の保管


 原子炉から取り出された燃料棒は、原子炉建屋内にあるホウ素を添加した水を満たした、使用済核燃料保管プールに入れられる。

f:id:mirai-miraikun:20191229002304j:plain

 プールの写真。(電気事業連合会のWEB写真を張り付けています)


 当然、熱いものを水に浸けるのだから、水温は上昇する。燃料棒は常に冷やし続けなければならないため、水を循環させる必要がある。
 東京都市大学の丹沢富雄特任教授も、「5年間は常に水を循環させなければならない」と、おっしゃっている。
 核燃料取出しは、燃料棒が十分冷えてからである。現在貯蔵されている使用済み核燃料の量は、ウラン量で約19,000トンもあるという。そのため燃料棒を水中に沈めておく棚の間隔を狭くする、リラッキングという方法がとられている。

 

増え続ける使用済み核燃料


 3.11の大地震が起きた時、福島第一原発の4号機は定期点検中だった為、原子炉に核燃料はなかった。それなのに、水素爆発が起きたのだ。それは、電気系統の故障で貯蔵プールの水が循環できなくなり、水が蒸発し燃料棒が露出した為、発生した水素が爆発したのである。
 前述した東京都市大学の丹沢特任教授は、使用済み核燃料について、「従来、炉内の燃料に比べてエネルギーが少ないため、冷やしておけばいいと考えられてきたが、圧力容器や格納容器がない分、影響が外に及びやすい」とも、述べておられる。(いずれもJIJI.COM 〔特集〕東日本大震災・関連情報より抜粋)


 そして、原発が稼働している限り使用済み核燃料は増え続ける。しかも、ほとんどの原発は燃料棒を冷却するプールは一杯で、その余地はほとんどないのである。

女川原発再稼働か

 2カ所同時惨事の恐れがあった

 東北電力女川原発は、メルトダウンした東電の福島第一原発から、わずか120kmしか離れておらず、いわば、お隣さんである。3.11のときも、当時の想定を上回る地震の揺れと、高さ13mの津波に襲われた。たまたま敷地の方がわずかに高く、原子炉への直撃は免れたのは、本当の偶然であった。
 津波は、重油タンクをなぎ倒し、原子炉建屋に後80cmにまで迫ったのだ。海水は取水路を逆流した。2号機の原子炉を冷やす施設は浸水し、地震で5回線あった4回線までが破壊された。1号機の電源設備で火災が発生し、一歩間違えれば、福島原発女川原発の2カ所同時惨事となってもおかしくなかったのである。
 これは、2008年に国の長期地震予測により、最大22.79mの津波が襲うことが予想できたにもかかわらず、東北電力は実際に事故が起きるまで13.6mの設定を見直さなかった結果である。
 その後、東北電力が改修した結果、この度、原子力規制委員会が、この女川原発2号機を新基準に適合していると認めたのである。
女川原発は、ひずみが集中するプレート境界付近に立地し、地震津波の心配が指摘されてきたにもかかわらずだ。
 地震の想定を2倍に引き上げ、標高29mの防波堤を作るなどが評価された結果だという。

女川原発2号機の寿命

 女川原発2号機は、出力82.5万kWで、1995年に営業運転が開始された福島第一原発と同じ沸騰水型(BWR)の原発である。法で決められた原発の稼働期間は40年であるため、後、16年しか運転できない。延長申請をして、それが認められたとしても36年だ。
 新基準に適合させるためだけに要した金額だけでも、3号機を含めた防潮設備は3,400憶円。新基準はテロ対策も含めたものになるため、4千億を超えるという。
 そして災禍なく期限が過ぎても、そこには金も時間も永遠に注ぎ続けなければならない廃炉という一大事業が待ち構えている。。
 いつも同じことを言っているが、現代社会に電力は欠かせない。しかし、そこまでにして、原発に頼らなければならないのだろうか。
 現在、稼働している原発は、安全対策において、3.11以前とは別物というほど、厳しい基準に基づいている。
 しかし、自然は人間の小智を嘲笑うかのように、災害をもたらしてきた。それは、何百年、何千年も繰り返されてきたことである。

自治体の反応

 女川原発2号機は、原子力規制委員会が基準に適合していると認めただけで、すぐ稼働できるものではない。
 自治体の承認、協力が不可欠だからである。
 以下、朝日新聞(令和1年28日)の引用。
 女川町では、2号機の再稼働に反対する目立った動きはない。多くの町民が東北電力を「電力さん」と呼ぶ「原発城下町」だ。
「心配はあるけど、再稼働に反対するわけがない。原発があるから税収が入り続けるし、復興も早まった。マイナスよりもプラスが大きい」……中略……原発がなくなると、女川は「限界集落」になる。

 女川原発の関連工事や物品納入を請け負う地元業者でつくる「女川商高事業協同組合」には建設や家電、飲食など90の組合員が加盟する。……中略……「原発の下請けで家族や親戚が働いている人は多い。声を大にして原発を批判できる空気ではない」


 もし、女川原発がこのまま稼働されれば、全国で稼働する原発は10基めになる。

福島第一原発 汚染水の海洋放出

福島第一原発の汚染水対策

氷の壁

 福島第一原発の敷地は、その昔、帝国陸軍の岩城飛行場であった320万㎡に及ぶ広大な敷地である。
その構内に1000基近くのタンクを作り、トリチウムを含む汚染水を溜めている。
 やっかいなことに福島原発は、地下水が流れ込むのである。それに加えて、いまだ原子炉の中に残る核燃料を冷やし続ける必要があり、その水の量は1日に500トンにも達する。
 東電が、2016年3月から開始したのが、凍土壁である。パイプに零下30度の液体を流して、土地を凍らせ建屋を氷の壁で取り囲み、地下水の流入を防ごうとしたのである。この作戦は2017年11月に完了し、その結果、建屋に流入する地下水は、1日におよそ95トン減少したという。
 それでも2022年の夏ごろには、タンクは満杯になるという。原子炉を廃炉にするため建設する建屋や機材などを置くスペースを考えれば、これ以上タンクを増やすことはできないということだ。


トリチウム


 この汚染水には、トリチウムがふくまれている。トリチウムは、三重水素とも呼ばれ、化学的性質は水素と同じであるが、水素原子にはない2個の中性子を内包し、不安定な物質である。
 トリチウム宇宙線などの影響で自然界にも含まれているが、もちろん原子炉内には自然界とは比較にならない多量のトリチウムが存在する。
 原発の汚染水には、この他にセシウム137やストロンチウム90などの放射性物質が含まれるが、これらは科学的吸着やろ過などにより、取り除くことができる。
しかし、トリチウムは、通常の水と同じ性質をもつため、ろ過してもすり抜けてしまい取り除くことができない。

 
トリチウムが人間にもたらす問題

 

 トリチウムは水であるため、人間が飲み込む。そして、普通の水と同様、血液やリンパ液として、体内を巡る。トリチウムを取り込んだ細胞は染色体が破壊され、先天性異常児や死産、流産が起こる確率が高くなるといわれている。そして、トリチウムが崩壊するときにβ線が放出され、人体を構成する細胞にも悪影響を与えると考えられている。

 
福島第一原発の汚染水の最終的な処理方法

 

タンクが一杯になったら、政府や東電はどうするのだろう。こんなやっかいで迷惑なもの、他の都道府県が受け入れてくれるはずがない。
そして、トリチウム半減期は12.32年である。後、4.5年ほどしたら、最初に発生した汚染水は半減期を迎える。それから、順次他の場所に移動するのだろうか。でも、どれだけ補助金をもらっても、やっぱりどこの地域も拒否するであろう。
 それでは、どうするのか。
やはり、半減期を迎えたものから、順次海に放出するしかないのではないか。と思う。

 
風評被害

 

しかし、それに最も反対するのは、福島、三陸近海漁業に従事する人たちであろう。風評被害でこれらの地域で獲れた漁獲類の売り上げは激減するだろう。
風評被害は科学的根拠ではない。理論でもない。感情、感覚である。どれだけ政府や東電が安全指数を羅列しても何の意味もなさない。
この地方の漁獲類が元のように売れるまでに、相当の期間を要するであろう。そして、それまでの間、政府や東電はそれらの人たちの生活給付金を払い続けなければならない。
こんな痛い目にあいながらも、政府はまだ原発を作り続けようとしている。

水素エネルギーの循環システム

 

褐炭より水素を採る

 

オーストラリアのヴィクトリア州には、多量の褐炭が眠っている。その量は、なんと日本の消費する全エネルギーの約240年分に相当する膨大なものだという。
 褐炭とは、炭化度の最も低い石炭で、水分を60%も含み、燃焼時には多量の煤煙と臭気を発する。つまり燃料として使用する今までの利用方法にはあまり適さない。しかも乾燥すると露出部分が空気中の酸素と反応して自然発火し、何年にもわたって大地がくすぶり続けることもあるという。
 このオーストラリアの褐炭に目を付けたのが、日本の川崎重工である。同社は現地で褐炭から水素を採取、液化し、日本まで大型液化水素運搬船で運び、さらに小型液化運搬船小分けし、陸上輸送を経てタンクに貯蔵し必要量を小出しに使う一連の水素エネルギー循環システムを構築しようとしている。

 すでに、JAXA種子島宇宙センターに設置された液化水素貯蔵タンクは、我国が誇るH2ロケットの燃料として、欠くことができず、すでに25年前から使用されている。(Kawasaki Hydrogen Road HP より)

 
LNGより水素を採取


 また、千代田化工建設は、ブルネイLNGより抽出した水素をトルエンに反応させて、メチルシクロヘキサン(MCH)という物質を作り、日本に到着後にはメチルシクロヘキサンから水素を分離する。そして、水素が抜けたトルエンを再びブルネイに向かって出航する。

 

水素エネルギーの受け入れ態勢


 ブルネイの水素化プラント、また受け入れ側には、川崎市臨海部の脱水素プラントの建設に2017年8月から着手し、2019年にこのプラントを完成させ、さらに2020年からブルネイで調達した水素を常温・常圧下の液体で日本まで海上輸送し、気体の水素に戻して利用者に供給することを予定している。(NEDO 国立研究開発法人 新エネルギー産業技術総合開発機構 HPより)

 

液体水素の体積は、気体の1/800


 水素は、-253℃の極低温にすることで、気体から液体に変わり、体積が1/800に減少する。
 川崎重工岩谷産業LNGLPガスを昔から開発、運送しており、冷却輸送に対して蓄積したノウハウがある。
 

水素採取の問題点


 しかし、そこには何の問題もないのであろうか。
 例えば、褐炭から水素を取り出す際にはCO2が発生する。川崎重工はそのCO2を地中深く沈めて、大気に放出しない方針であると聞く。専門家でないのでよくわからないが、例えば、毎日毎日発生するCO2を何年も何十年もの間、大地に埋めて弊害は出ないのだろうか。
【安生 正氏の小説「ゼロの激震」】のように、地中に埋めたCO2の影響で火山を誘発したり、あるいは何らかの悪影響を及ぼすことはないのだろうか。
 また、ベンゼンは人体に有害であり、発癌性があることが、WHOの下部機関IARCより勧告されている。(wikipediaより)

 言うまでもなく、千代田化工建設NEDOはそんなことは百も承知で、ベンゼンが漏れ出さないよう万全の策を講じていることだろう。 

 素人が心配することではないが、本格的に水素エネルギーを活用し、原発や火力発電に取って代わるには、まだまだ道のりは遠い。

 

水素エネルギーは、本当に高価なのか

水素活用への期待

インフラ整備の難しさ

 クリーン化が急がれる自動車の世界でも、トヨタが「ミライ」続いてホンダが「クラリティ」と水素エネルギー車を発表したが、それぞれ723万円、766万円と自動車自体がかなり高価である。政府の補助金が下りるにしても、一箇所5億円といわれる水素ステーションのインフラの整備が充実していないこともあって、期待ほどは普及していない。

水素エネルギーは本当に高価なのか
 

 しかし、水素は本当に高価なのであろうか。例えば2016年12月9日の経産省の発表によると、福島原発事故の後処理費用は、実に21.5兆円になるという。借金まみれの日本の年間予算が100兆円とすると、その1/5が福島原発のみで消えることになる。


実は、原発のコストパフォーマンスは低い 

 例え事故が起きなくとも、原発(13.1円)>火力(9.9円)>水力(3.9円)となり、過去の実績(1970-2010年度)でみると、原発は最も経済性がない電源だったといえる。(大島堅一 立命館大学教授)
しかも、原発発電効率を高めるため100万kWと巨大なプラントが必要になる。それに比較して、水素発電は1kWから百、千、万kWと、小型発電から超大型発電まで地理的条件、地域の必要に応じて自由に設計可能である。