原発について思う

原発、再生エネルギーについて書いていきたいと思っています

女川原発再稼働か

 2カ所同時惨事の恐れがあった

 東北電力女川原発は、メルトダウンした東電の福島第一原発から、わずか120kmしか離れておらず、いわば、お隣さんである。3.11のときも、当時の想定を上回る地震の揺れと、高さ13mの津波に襲われた。たまたま敷地の方がわずかに高く、原子炉への直撃は免れたのは、本当の偶然であった。
 津波は、重油タンクをなぎ倒し、原子炉建屋に後80cmにまで迫ったのだ。海水は取水路を逆流した。2号機の原子炉を冷やす施設は浸水し、地震で5回線あった4回線までが破壊された。1号機の電源設備で火災が発生し、一歩間違えれば、福島原発女川原発の2カ所同時惨事となってもおかしくなかったのである。
 これは、2008年に国の長期地震予測により、最大22.79mの津波が襲うことが予想できたにもかかわらず、東北電力は実際に事故が起きるまで13.6mの設定を見直さなかった結果である。
 その後、東北電力が改修した結果、この度、原子力規制委員会が、この女川原発2号機を新基準に適合していると認めたのである。
女川原発は、ひずみが集中するプレート境界付近に立地し、地震津波の心配が指摘されてきたにもかかわらずだ。
 地震の想定を2倍に引き上げ、標高29mの防波堤を作るなどが評価された結果だという。

女川原発2号機の寿命

 女川原発2号機は、出力82.5万kWで、1995年に営業運転が開始された福島第一原発と同じ沸騰水型(BWR)の原発である。法で決められた原発の稼働期間は40年であるため、後、16年しか運転できない。延長申請をして、それが認められたとしても36年だ。
 新基準に適合させるためだけに要した金額だけでも、3号機を含めた防潮設備は3,400憶円。新基準はテロ対策も含めたものになるため、4千億を超えるという。
 そして災禍なく期限が過ぎても、そこには金も時間も永遠に注ぎ続けなければならない廃炉という一大事業が待ち構えている。。
 いつも同じことを言っているが、現代社会に電力は欠かせない。しかし、そこまでにして、原発に頼らなければならないのだろうか。
 現在、稼働している原発は、安全対策において、3.11以前とは別物というほど、厳しい基準に基づいている。
 しかし、自然は人間の小智を嘲笑うかのように、災害をもたらしてきた。それは、何百年、何千年も繰り返されてきたことである。

自治体の反応

 女川原発2号機は、原子力規制委員会が基準に適合していると認めただけで、すぐ稼働できるものではない。
 自治体の承認、協力が不可欠だからである。
 以下、朝日新聞(令和1年28日)の引用。
 女川町では、2号機の再稼働に反対する目立った動きはない。多くの町民が東北電力を「電力さん」と呼ぶ「原発城下町」だ。
「心配はあるけど、再稼働に反対するわけがない。原発があるから税収が入り続けるし、復興も早まった。マイナスよりもプラスが大きい」……中略……原発がなくなると、女川は「限界集落」になる。

 女川原発の関連工事や物品納入を請け負う地元業者でつくる「女川商高事業協同組合」には建設や家電、飲食など90の組合員が加盟する。……中略……「原発の下請けで家族や親戚が働いている人は多い。声を大にして原発を批判できる空気ではない」


 もし、女川原発がこのまま稼働されれば、全国で稼働する原発は10基めになる。